夢を与える
「まだやれるからって、やる必要はないだろ。
まだやれるけどやらない。
それでいいんじゃない。
ギリギリの限界までやる必要なんてないだろ。
(略)できたって、やらなくてもいい」
夕子の彼となる、
売れないダンサーの言葉なんですが、
さるきちのココロに響きましたね。
ついつい、
自分の体力、精神力を過信してしまって
やり尽くしてしまう、さるきち。
連休中も、遊びまくって、
いつの間にかガス欠状態。
ぷすんっ。
ぱたんっ。
なーんてことは、
今回は避けられたのでよかったけれど、
でも、そう、
遊び尽くさなくたって
いいんですよね。
余力を残したまま、
中断したってよいのです。
それはもったいないことではないし、
誰も責めたりしない。
悪いことじゃあ、ないのよね。
さて、本書。
綿谷りさ氏の長編。
淡々と物語が進んでいくのですが、
なぜか中だるみすることなく
最後まで読めてしまう。
構成がうまいな、と感心しちゃう。
だってね、特に大きな抑揚もないんですよ、
それなのに、
ページ毎に起承転結が為されているというか、
前に前にと、読み進みたくなるのですね。
語り手は、夕子。
彼女は幼稚園の時から
広告のモデルデビューを果たし、
チーズのCMに抜擢。
以後、どんどん活躍の場を広げ
人気を博します。
マネージャーの母との二人三脚で、
芸能活動に励む夕子。
フランス人の父トーマも
彼女を大切に想い、応援している。
愛のある家庭です。
でもね、実は、
話は夕子が生まれる前、
幹子とトーマの確執から始まっています。
別れようと切り出された幹子は
避妊具に細工を施し、
見事できちゃった婚を果たす。
そしてできた子どもが夕子なのだ。
仲のよい三人家族。
一見そうなのに、
両親のココロの内には、
その喧嘩の“しこり”はまだ残っているのね。
それが夫婦破綻にもつながっていくのです。
そんな状況の中で、
仕事と学業の両立、多忙な芸能活動の日々、、、
本書は
ちっちゃな“ゆーちゃん”が
大人へと変貌する、
成長物語なのでした。
ラストはちょっぴり陳腐だけど、
面白くすんなり読めた一冊でした。
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