死にカタログ
さるきちの母が失踪した。
初めてではない。
ここ数年のうちに何回かあった。
兄弟ザル3匹はそれぞれ違う反応を示す。
上の弟サルは怒りモード。
「どれだけ周りを巻き込んでいるか、わかってねェ
」
一番素直な反応なのかも。
下の弟さるは兄弟で唯一
実家で両親と同居している身。
「またか。困ったもんだ
」
彼は諦めモード。
達観しているともいえる。
もしかしたら兄弟の中で一番肝が据わっていて
冷静なのかもしれない。
そして長女さるきちは死の妄想モード。
「母…死なないよね?
」
身を隠した母が死を選ぶのではないかと
勝手に想像し、不安と恐怖で
胸にねじるような痛みを感じてるヒト。
さらには、「母…死なないよね?」メールで
弟たちを動揺させ、彼らの不安さえも
掻き立ててしまうほどの愚かっぷり。
電話やメールのやりとり。
うききき
と、騒ぎたったサル3兄弟なのでした。
さてさてさて、
この本は以前紹介したウンチの本の寄藤文平氏。
前々から察してはいたが、
彼は天才。 ![]()
いや、天才と変人の合間で
絶妙なバランスを取っている感じ
といった方が正しかろう。 ![]()
彼は「死ってなんだろう」という
単純かつ難解な疑問を抱く。
そして死について考えてみるコトを決意する。
ヒトは誰しもいつかは死を迎えるものだけど、
死との距離はヒトによって異なるのよね。
病気で余命を告げられたヒトにとっては
まさに近しいモノなのだろうし、
一方で、
心身ともに健康なヒト、
例えば旦那サマのようなヒトにとっては
遠い遠い存在なのだろう。
さるきちが、母に襲いかかる死の影に
恐れおののくのは、
やはりさるきちが死をすぐ近くの存在として
捉えていることの表れでなのか。。
勝手口を開けたら、
あら、そこにいたの?みたいな。
もっと例えるなら、
普段はめったに会わないけれど
結婚式には呼んでおこうか的な友人、みたいな。
さてさてさて、
話は戻って、
彼は先ず死のカタチを考え、
それを図示しています。
波や砂時計、8の字だったり、
あるいは長い道路の先のちっちゃな点だったり。
さるきちの死はどんなカタチをしているんだろう。 ![]()
それから、世界のいろんな地域で信じられている
死の世界が描かれています。
日本だったら、魂が抜けて天国か地獄にいく
という考えが主流なのかな。
一方でね、
西欧のバイキングは死ぬと戦場に行くと思われていたり、
パプアニューギニアでは近所の島に行くと考えていたらしい。
面白いですよね。
本州で死んだおばあちゃんが
四国で元気に農業やってたりしたら。 ![]()
あるいは、エジプトでは死者は再生すると思われていて、
だからこそ死体をミイラにしたのだし、
コオロギや蠅、鳥になると信じている所もある。
懐かしいのは、中国のキョンシー。
昔ドラマでありましたよね。
腕を“前習え”にしてぴょんぴょん跳ねるの。
お札を額に貼ると動きが止まるのよね。 ふふ。
それから、死因や死に場所の統計、
さらに後半では歴史上の偉人や
小説、映画の中の登場人物の死が描かれています。
このチョイスがまた面白い。
キリストに始まり、織田信長、坂本竜馬。
ヒットラーに、火あぶりの刑に処せられたジャンヌダルク、
老衰のピカソ、ギロチン台のマリーアントワネット。
さるきち好きな作品でもあるオスカー・ワイルドのドリアングレイ。
ウエストサイドストーリーのトニー。
I'll be backのターミネーター。
入水自殺の太宰治に割腹自殺の三島由紀夫。
ユニークなところで
ジュラシックパークの保険屋(ティラノサウルスにぱくりってね)
ごんぎつね(これは泣ける)
泡になる人魚姫。
ちなみに、高橋留美子の人魚シリーズでは
人魚の肉を食したヒトは不死身になって
それもツライのよね…
などなど、多岐多様にわたり、
それがちまっとしたイラストになってるからさらに楽しめるのだ。
南野陽子の大ファンという著者。
もっと強烈に、陽子のココロをワシづかみにしたい
やっぱ死ぬしかねえ
そうして、妄想の中、
彼は陽子を助けるため
ビルの下敷きになるのであった…
ちゃんちゃん。
この妄想癖、さるきちも負けてられません。
“死”がテーマなのに笑えちゃう一冊です。 ![]()
さて、、
さるきちの母がどうなったのか。
その話はまた改めて。
人生にはいろんなコトが起きるのだ。。はああ。

theme : 心、意識、魂、生命、人間の可能性
genre : 心と身体





















