熟年離婚。

あ。あ。マイクのテスト中。

よし。


さて、選手村ならぬ、田舎村のさるきちさんに
中継がつながっています。

さるきちさーん


は、はい。 はっ

さ、さるきちです。
皆サマ、こんにちは。 

さるきちはこちら、
開会式の熱気覚めやらぬ田舎村より
生放送にて実況中継をさせて頂きます。


さて、
飛行機と電車を乗り継いで、
やってきましたは、自然あふれる田舎村。

山に囲まれ・・・


否、山です。 ガーン  


送迎に来てくれたのは、
さるきち母。


早速のご対面ですっっ。 ガンバ


遠くで手を振る母は・・・

予想以上に、元気な姿です。


家出して参ってたんじゃなかったんかい。 怒


帰路にある洒落た喫茶店でお茶する。
ヨーグルトパフェに、紅茶のシフォンケーキ。

やっぱりギャルズトークに
甘いモノは必須だろう。

当たり障りのない近況報告や
お盆の予定なんか、話す。


肝心の話には、なかなか切り込めない。


「どうして家出したの?」


意を決して
そう発したさるきちは、自然だっただろうか。


「うん。嫌なコトあってね」

「そう」


理由はきかない。

父との諍いに決まっているから。


「お母さんね、家、出ようと思って」

離婚するわ。

「そう」


予想してた回答だから、
特に驚きはない。


むしろ、


さるきちが小さい頃から望んできたコトじゃないか。


「流行の熟年離婚ってやつ?」

そう言って母は軽く笑った。


「誰にも言わないつもりだったんだけど」

「へ?」


さるきちたちにも??

子どもくらいには伝えようよ。


「だって、もう嫁いだじゃない」

そうだけど・・・


さるきちは、話を大袈裟に、おちゃらけながら
家出を知った時の兄弟の騒ぎを伝える。
(家出事件の記事はコチラ

母は、


はは


と笑った。(ジョークじゃないよ)


さるきちがどんなにココロを痛め、
さるきちの体調に悪影響を及ぼしたのか、

それは、ちゃんと伝えられなかった。

お笑いにしてごまかしちゃうの。
さるきちの悪い癖だね。


母はすでに決心ついてるみたいで、
なんの躊躇もなく、さっぱりしてた。


「さるきちに求めてることは、ないんだ」


さるきちは、胸中どきどきしながら、問う。


「ないよ」


誰にも迷惑かけないつもり、

と母はきっぱり言い放った。


「体調は?」

「元気。元気。
ただあの時はうんざりしてて
話す気力がなかっただけ」

「そうかい」


顔が見えないコミュニケーションって
何て不便なんだろう、とさるきちは思う。

携帯のメールは
淡白で、冷酷で、感情を映し出さない。

携帯電話なんてモノがあるから、逆に、
連絡つかないコトが不安で仕方ない。


嗚呼、これじゃあ、

さるきちの、心配損じゃあないか。 blueday

というより、


さるきちは、さるきちが思っている以上に
ネガティブ思考の妄想癖だということだ。

いや・・・

もしかしたら、

さるきちは、さるきちに相談して欲しいと、
願っていたんだろうか。

さるきちに愚痴って欲しいと、
願っていたんだろうか。


そうやってさるきちを困らすから、
さるきちの病気が治らないんじゃない!!


って、母に責任転嫁したかったのだろうか。



やっぱりね、
摂食障害って、自分の問題なのだよ。

どこかで、母を言い訳にしたり、
責任を押し付けている自分がいるのだよ。


さるきちは、それがわかってなかったんだな。


母はひとりの人間なのだ。

ひとりで生きていける、自立した人間なのだ。


そんなコト、幼稚園の頃から
わかっていたつもりだったのに。

さるきちは自分を買いかぶりすぎたのね。


自分がいなくたって、母は、母なのだ。

母の人生は、母自身が作っていくものなのだ。


もうさるきちの勝手な解釈による、
母への思いやりは止めるの。

それは、さるきちの思いあがりに過ぎないのだから。

そして、それこそが、
さるきちを苦しめているのに、違いないのだから。


さるきちね、
ココロのもやもやが少し晴れた気がします。


そして、


もう一歩踏み込んでみようと思います。


そう、あの“事件”についてです。



中国がミサイルで消雨したように、

さるきちのココロにも、

どかん

とミサイルを撃ち込んで、
博多に帰る前に雨を降らせるのだ。


以上、田舎村よりさるきちがお送りしました。


はーい。
中継のさるきちさん、ありがとうございました。 にっこり

特集「さるきち田舎村での奮闘」は明日も続きますので
どうぞ、ご期待ください。

では、次のニュースです。。。

 にほんブログ村 メンタルヘルスブログ 摂食障害へ にほんブログ村 メンタルヘルスブログへ ranking fc2 ranking
ぽちっとお願いします
ポイント  


theme : 心のつぶやき
genre : 心と身体

tag : 選手村 喫茶店 ヨーグルトパフェ シフォンケーキ お盆 熟年離婚 携帯 ミサイル 消雨

いざ。

さるきちくんは可愛げがあるねぇ

そう言って、
パンダ先生は笑った。


さるきちね、この一週間、
体調ずたぼろだったのです。

しかもそれは自ら課したプレッシャーによる、


すなわち、自・滅。 blueday


「さるきちくんが考えてたコトを言ってごらん」

えっと・・・

と、さるきちは切り出す。


ひとつ。

母親と話し合う。

ふたつ。

“現場”に行く。

みっつ。

同級会に出席する。


本日からの帰省にあたり、
さるきちが企てた3つの目標。


パンダ先生は苦笑いしながらペンを走らせた。

「さるきちくんは、まったく、チャレンジャーだね」

でも、そのプレッシャーで過食嘔吐がひどくて。ハハ。

とさるきち。

パンダ先生も笑う。
見ればわかるよ、とでもいうように。


先日、さるきちはパンダ医院の勉強会に参加しました。

摂食障害の回復者を囲み、フリートーク。

途中ダウンしちゃった子や、
我慢できずトイレに駆け込む子もいれば、
ハンカチで涙をぬぐうヒトも。

回復者の語る言葉に、
皆深く相づちを打つ。


そう、そのとおり。 くすん


語り手の顔を見つめる皆の視線は優しくて、
一言も聞き漏らすまい、というように丁寧に耳を傾ける。

すごく良い雰囲気でした。


で、話の中でね、

親からの過干渉を断ち切ることが
回復への大きな一歩だった

って、回復者の方が語ってくれたのね。


親は親。

自分は自分。

そうやってお互いが他者を巻き込まずに
自分の問題として考えるようにしたんだって。


さるきちはね、
ちっちゃい頃から
早く自立したいと思っていました。

母を解放してあげたい、
自由にしてあげたいと思っていました。


でもね、実質、結婚もして実家を離れ、
自立したように見えたのに、


実は何よりも、

さるきちこそが母に依存しているコトに気づいたのです。

さるきちだけが母に縛られてるコトに気づいたのです。


だから、さるきちは境界線を引かなくてはいけないの。

白いチョークでつーっと、
母とさるきちの間に線を引くのだ。


「母がさるきちに求めていることは、何?」


その一言がちゃんと伝えられればいいな。 ハート


パンダ先生曰く、
さるきちが掲げた目標はどれもムツカシイ。

できない可能性が大きいだろうと。
返討ちに遭うだろうと。
ヤラれちゃうだろうと。

実際、自分の妄想で
すでに潰れているさるきちですから…ハハ。


「気負いしすぎないように」

パンダ先生は何度も念押ししました。

そして…


「大丈夫、骨は拾ってあげるから」


…って、パンダせんせ〜い。 だーっ(泣)



☆おススメ品☆

そうめん太郎。


 
 にほんブログ村 メンタルヘルスブログ 摂食障害へ にほんブログ村 メンタルヘルスブログへ ranking fc2 ranking book

ポイント   ぽちっとお願いします

theme : うつ病(鬱病)、メンタルヘルス
genre : 心と身体

tag : プレッシャー 自立 同級会 過干渉 依存 過食嘔吐 回復者

荒療治の刃に切り裂かれても。

セミの幼虫は、8年間を土の中で過ごす。

いざ時が来て、
地上に向かって上へ上へと進んでいくと、

その天井は黒く固いモノで覆われていて

小さな手足でどんなに掻いても
冷酷に、厚い層が行く手を阻む。

そして、

ついに、彼らは力尽きた。


アスファルトの道路の下には、
陽の目を浴びるコトを待ち望み死んでいった、
たくさんのセミの幼虫の亡骸があるのだ。


彼らの無念の想いは

いったい、どこに向かえばいいのだろう。



市の中心地にあるその公園は、
人々の憩いの場としての役割を存分に発揮していた。


夏の日差しを受け、キラキラ輝く街路樹の緑。

木陰のベンチに座り、語らうカップル。
セミの大合唱の中、虫取り網を手に走り回る子どもたち。

池には色とりどりの鯉がいて
水面で口をぱくぱくさせる。

帽子をかぶったちっちゃな男の子が
おぼつかない足で鳩の群れを追いかける。

遊具で遊ぶ子どもたちの賑やかな声に、
遊歩道をマラソンする高校生のかけ声。


公園の一角にある旧校舎は
いまは管理局として利用されていて、

その木造の古びた外観は
公園にすっかり同化している。

中に入ると
しん、と静かで、ひんやりと涼しく
そこだけは明るい戸外と隔離されたかのように
ひっそりとしていた。


さるきちはね、
小さい頃からその公園が大好きで、
よく親に連れていってもらった。

芝生の上でバトミントンをして遊んだり、
パンくずを蒔いて鳩の人気モノになったり、
家族でお弁当を食べたりした。


また、さるきちの父は
社交ダンスの先生をしていて
管理局の一室(旧音楽室)を借りて
ダンスの練習をしていた。

ステレオから流れる華やかなメロディーと
ステップを踏むとギシギシきしむ床音に、

さるきちは耳を傾け
両親が踊る様を眺めてた。
(さるきちの母は嫌々だったんだけど)


高校になってからは、
通学路とはちょっとはずれるんだけど、
寄り道してね。

並木道の街灯が、これまた幻想的で、
さるきちの影をくっきりと地面に落とした。

ちょっぴり涼しい風が
部活動でほてった身体をゆっくりと
冷ましてくれた。

夜の公園のお散歩も格段
素敵だったのだ。


その公園は、

さるきちの大切な場所だった。


でもね。


そこが、事件の現場となった。



さるきちは、

あの事件以来、
公園には足を踏み入れていない。

近づいてもいない。


思い出すその景色は、
あの事件の夜の
一歩手前で止まったままだ。

いまや広がるのは、
ただの漆黒の闇。


あの時の、

さるきちの悲痛な叫びは、

声なき叫びは、

塗り固められ、

葬られた。


そして今も、セミの幼虫たちと一緒に

公園の土の中に埋まっているのだ。




今週末から
さるきちは実家に帰省するんですが、

目標が3つあってね。
そのうちの一つが


“現場”に行くコト


パンダ先生は
荒療治だと言った。

現場に行けば、
嫌でも当時の情景を思い出すコトになるだろう。

まざまざと。

それにさるきちは耐えられるのか??



さるきちは、故郷の街を歩けない。

コワイの。

“見つかってしまうんじゃないか”と。


“あの男に、見つかってしまうんじゃないか”と。


いつまでも男の影は
さるきちを追ってくるのだ。

くそう・・・



今まで帰省しても、
実家にこもるか、出かけるにしても
近所のスーパーに行くくらいで、

高校時代を過ごした街中には
行けずにいたのです。


でもね、今回は、

歩いてみようと思ってる。

勇気を出して、
公園にも行ってみようと思ってる。

そして、確かめるのだ。


もう、大丈夫なんだって。


返り血を浴びるかもしれない。

この治療は諸刃の剣。


それでも、進むしかないでしょう?


肉を切らせて骨を断つ


覚悟は、いいか?



*コメント返し遅れていてごめんなさいっ。
 さるきちを心配し、応援して下さる皆サマに
 ココロより感謝申し上げます。

 にほんブログ村 メンタルヘルスブログ 摂食障害へ にほんブログ村 メンタルヘルスブログへ ranking fc2 ranking
ぽちっとお願いします
ポイント  

theme : 病気と付き合いながらの生活
genre : 心と身体

tag : 公園 セミ 荒療治 現場 事件 故郷 社交ダンス

告白。

もう10年以上も前の話なのに、

どうして、涙が出るのだろう。



さるきち、ウサ子さんに告白してきました。

長ーい間、さるきちのココロの奥深くに
しまい込んでいた、忌まわしい過去。


「よく話してくれたね」

ウサ子さんは、そう言って
涙を流してくれた。



「『食べない心』と『吐く心』」に書いてあった。

ココロのキズは冷凍保存されているのだと。



おかしいね。

10代のピチピチなお肌のハリも失い、
毎日往復20キロの自転車通学の気力も失い、

さるきち、すっかりおばさん…

いやいや、

おとなになったっていうのに。


ココロのキズはあの頃のままなんだ。


まるで、氷河に残されたマンモスの赤ちゃんみたい。

ずっと、ずっと、
陽の目に当たる日を待っていたのだろうか。



「何から話せばいいのか、わからないんですけど…」

そう切り出して、
さるきちは少しずつ、少しずつ、言葉にする。


病院に来る前に、頭の中でシミュレーションしていたというのに、
いざ、話が核心に迫ると、
言葉に詰まり、目からぼろぼろと涙があふれた。


ウサ子さんは、すかさずティッシュを何枚か重ね
さるきちに渡してくれた。


こぼれる涙と、垂れる鼻水を
ティッシュで拭いながら、さるきちは続けた。


男に暴力を受けたコト。
物理的に、性的に。

そして、

家族に助けてもらえなかったコト。


今まで、何度もパンダ先生に
事件について話そうとしたコトがあった。

でも、話せなかったのだ、と。


過食嘔吐には関係ないんじゃないの。

さるきちは“悲劇のヒロイン”ぶってるだけじゃないの。

さるきちに落ち度があるんじゃないの。


なーんて。

パンダ先生の反応も怖かったんだ。


でも、ウサ子さんは、
さるきちの話を静かに聞いてくれて、

そして、はっきり言ってくれた。


「さるきちさんは、悪くないよ。

重い荷物、独りでしょってきたんね。

つらかったでしょう」


さるきちはいっぱい泣きました。


その涙が、ココロのキズをゆっくり優しく
癒してくれている、

そんな気がしたの。


そして、

すとん

って、肩の荷が軽くなった気がしたのです。


「さるきちさんに何があったとしても、
私はさるきちさんのコトが好きだよ」

えへへ、とさるきち照れ笑い。


次回の診察日。

今度はさるきち、パンダ先生に告白します。

話の骨子はウサ子さんから、
伝えてもらうので、

どう治療につなげていくか、

それをお話するコトになると思います。

どきどき…



ねえ、

あの日のさるきちは、泣いていたのだろうか。

泣くコトすら、できていなかったのかもしれないね。



 にほんブログ村 メンタルヘルスブログ 摂食障害へ にほんブログ村 メンタルヘルスブログへ ranking fc2 ranking
ぽちっとお願いします
ポイント  

theme : 病気と付き合いながらの生活
genre : 心と身体

tag : 暴力 ココロ キズ マンモス 過食嘔吐 診察

リストカット願望。

「もう、やめてほしいんだよね」


少し間をおいて、旦那サマは言い直す。

「やめるよう、努力してほしいんだよね」


トーンの低い声。
それはさるきちのココロにずーんと響いた。

旦那サマがリモコンをぽちっと押す。
BGM代わりのテレビがぷつっと消えて
部屋がしん、となる。

重苦しい部屋の密度がより濃くなった気がした。

お気楽芸人のクイズ番組なんて、
さるきちは大嫌いだ。


さるきちはその日、

過食をして、吐いて、

さらに旦那サマと交わした
「もう切らない」という約束を破り

手首を傷つけた。


そして、
だるさに頭をごつーんと殴られて、
さるきちは動けなくなって、

手首にティッシュをあてたまま布団に突っ伏していた。

帰宅した旦那サマがさるきちを発見。

旦那サマが帰り道にスーパーで買ってきた
刺身とポテトサラダ、ホタテの南蛮揚げ、
そして残りモノの味噌汁とごはんで簡単な夕飯。

旦那サマに促され、さるきちも少し口にする。


食べて腹におさめる。

どうしてそんな簡単なコトが独りだとできないんだろう。


片付けを済ませ、ソファに並んで座る。

「病院には行ったの?」

「…」

「行かなかったの?」

「うん…」

また、パンダ医院をサボっちゃった。
ダメな患者。


「手首見せて」

さるきちはとっさに抱えていた
クッションの内側に左手を隠す。
そして丸まってだんご虫になる。

「怒らないから見せてごらん」

さるきちはクッションに顔を押しつけたまま、
左手を差し出した。

赤く刻まれたライン。

きっと旦那サマは顔をゆがめているだろう。


「残念だよ…」


胸がズキンとした。

こうなることがわかっていて、
どうして切っちゃうんだろう。


テレビの音がなくなり、
それとともに旦那サマもしばらく沈黙。

さるきちはくぐもった頭の中でぐちゃぐちゃと
理由にならぬ理由に考えを巡らせながら、
底知れぬ恐怖を味わっていた。


旦那サマがどんどん遠ざかっていく。

さるきちとの間に深い、深い溝ができていく。


そんな気がした。

でも自業自得なのだ。


「明日から努力する」


子どもみたい。
でも他に思いつかなかった。

顔をあげると、旦那サマの横顔があって、
その目はどこか遠くをぼんやりと見つめていた。

「明日からまた頑張る。
もう切らない。吐かないように頑張るから」

ゆっくりと旦那サマがさるきちに視線を向ける。

嗚呼、なんて悲しい顔をしてるんだろう。

さるきちが、そうさせているのだ。


「さるきっちゃんは切るのを止めたくないんだね」

ずっと想像してたの…

さるきちは、ぽつりぽつりと言葉にする。



さるきちにはリストカット願望があった。

それは、思い起こすに、
あの事件が発端だ。


さるきちは死にたくて、手首にカッターの刃をあてた。


でも切れなかった。

臆病な自分に泣いた。
現実から逃れられない苦しみに泣いた。

思い切りそのカッターを引けば楽になれるというのに!!


さるきちは夢見るようになった。

夢の中でさるきちは手首を真っ赤に染め、
おそらく、歓喜に湧いていた。

流れ出す真っ赤な血に誇りを感じていた。


そんな「仮面の告白」
 的な妄想を
さるきちは抱きながら、生きてきたのだ。

そしてそれが少しだけ形になった。

皮肉にも、
あの事件の痕跡などひとかけらも残っていない、
愛する旦那サマとの幸せな生活の中に
ふと現実化してしまったのだ。


旦那サマはさるきちの話を静かに聞いていて、
そして言った。

「さるきっちゃんは、切ることで
生きている実感を得ているんでしょう」

「そう意識はしていないけど…
切ると『やった』『してやったぞ』って思う」

「さるきっちゃんは、誰かに認めてもらいたいんだね。
でもそれができていないから、

自分の奥へ奥へと向かっているんでしょう。
切ることで自分で自分のコトを認めてあげているんだね」


さるきちの瞳に、突然ぶわっと涙があふれました。


旦那サマはいったい何モノだろう。

どうしてそう、さるきちでもわかっていない
さるきちの奇行の裏の心理を、
言い当てるコトができるのだろう。

そうなのか、さるきちは誰かに認めてもらいたいんだ。


「その事件が鍵だと思うよ」


さるきちは、旦那サマに事件の詳細を話していない。
ただ、ツライことがあった、
そう言ってあった。

「さるきっちゃんの話を聞いていると、
いつも巡り巡ってその事件にたどり着いてるよ」

「そうなの?そう思うの?」

そう思う、と旦那サマははっきりと言った。


「病気を治すには、さるきっちゃんは
井戸の底に降りなくちゃいけないのかもしれない」


それはココロの井戸。

オカダトオルがクミコを助けるために降りた井戸。

漆黒の闇の中、バットを抱え、
壁を通り抜けるその瞬間を待っていた井戸。

さるきちの中にもあるのだ。
そんな正体不明の不気味な井戸が。


さるきちは降りなくちゃいけないの? 独りで?


ぼろぼろと涙がこぼれる。


「井戸の底にはさるきっちゃんしか行けないのかもしれない」


思い出したくない、
だけど鮮明に覚えている過去の映像が脳裏によみがえる。

「ツライね、思い出すのは、ツライね」

さるきちは、もはや声をあげて泣いていた。
嗚咽はさるきちのココロの奥底から
こみあがってきてるみたいだった。


「でも大丈夫だよ。ボクが縄の端をしっかり持ってるから」

さるきちが、“ほんとうに”危険に陥った時に
すぐに井戸の底から出てこれるように。


「インディみたいにはしないから」

インディはね、聖櫃を掘り当てた後、
蛇がうようよいる地下の洞穴に取り残されちゃうの。

地上にあがるための縄は地下に投げ込まれちゃって。

ついでにマリアンも投げ込まれたんだけど。ハハ。

「井戸には蛇はいないよ」

さるきちは少し笑う。
旦那サマも笑った。



今まで摂食障害の原因について、
さるきちは考えに考えてきた。

幼い頃に身につけた考え方の癖で
対人関係に問題があることが判明し、
感情を表現する練習をしてきた。

乱れた食生活を改め、
決められたモノを薬のように食し、

また、旦那サマと一緒の時は食事を楽しむコトも覚えた。


それでも消えない、

過食嘔吐の衝動。

リストカットの願望。


なぜ、止められない?


単純に時間の問題?
時間をかければ治っていくものなの?


何か、違う。


まださるきちのココロに巣くう
得体の知れない何かがあるのだ。

その根っこを探らない限り、
膿はいつまでもいつまでも出てくるのだ。


さるきちが囲っているのは、
やはりあの事件なのかもしれない。


誰にも話したコトない、さるきちのココロの奥の闇。


「僕に話しづらいんだったら
パンダ先生に話しておいで」

パンダ医院に通院しだして1年5ヶ月。
もう信頼関係も築けているでしょう、と旦那サマ。

そうだね。
先ずウサ子さんに話してみる。

さるきちは旦那サマに約束をした。



さるきちはね、
過去を理由に病気に向き合うコトから逃げようっていうんじゃないの。

どうしてさるきちが摂食障害になっちゃったの?
あの事件がなかったら、さるきちは
病気になんかなっていなかったかもしれない?

そうじゃない。そうじゃない。

そんなこと言ってたって何の解決にもならないのだ。


過去は過去なのだ。

さるきちは今を生きていて、

そしてこれからを生きていくのだ。


だから、過去にたとえ何があったとしても、
さるきちはそれをそのまま受け止めてあげて、

よっこらしょって持ち抱えてさ、

そして生きていけばよいのよね。


今はね、なんか持ちづらくなってるんだ。
どこかひっかかってるのかな。


だからさるきちは井戸の底に降りて
探ってこなくちゃいけないのだ。


そうしないと、だって

今がこんなにも生きづらいんだもの。


今日、ランチの合間にウサ子さんに電話をした。

昨日病院をサボったコトを謝り、
そして明日面談の時間を取ってもらった。

「待ってるよ」


話して何が変わるか、さるきちにもわからない。

もしかしたら何にも状況は変わらないのかもしれない。


でも、先ずは吐き出してみよう。
そこから何かがみえてくるかもしれない。

それしか、ないじゃない。


あの事件についてはコチラ

文中の比喩はコチラ↓。

・「仮面の告白」 三島由紀夫

仮面の告白 (新潮文庫)
三島 由紀夫
新潮社
売り上げランキング: 5095


・「ねじまき鳥クロニクル1、2、3」 村上春樹


・「インディ・ジョーンズ レイダース 失われたアーク(聖櫃)」
インディ・ジョーンズ レイダース 失われたアーク《聖櫃》
パラマウント ホーム エンタテインメント ジャパン (2008-06-06)
売り上げランキング: 5195


 にほんブログ村 メンタルヘルスブログ 摂食障害へ にほんブログ村 メンタルヘルスブログへ ranking fc2 ranking
ぽちっとお願いします
ポイント  

theme : 自傷・OD
genre : 心と身体

tag : リストカット 過食嘔吐 摂食障害 仮面の告白 井戸 インディ 村上春樹 三島由紀夫

カレンダー

07 | 2008/08 | 09
- - - - - 1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31 - - - - - -
プロフィール

さるきち

Author:さるきち
摂食障害(過食嘔吐)9年目のさるきち@主婦です。

治したい。でも治りたくない。

さるきちの中の天使と悪魔が
今日も闘っている。。。

ウツ虫くん、虚し虫くんとも仲良し。
趣味はカフェでまったり読書っ。

ブログのモットーは
ユニーク&ユーモア。
できるだけ笑いをお届けしたいと思っています。

詳細はコチラ

登場人物はコチラ



カテゴリ
最近のエントリ

全ての記事を表示する

さるきちの生活記録
さるきちおススメ本
リンク
さるきちの好物♪
検索フォーム