孤独と不安のレッスン

孤独と不安のレッスン
鴻上 尚史
大和書房
売り上げランキング: 7501


独りぼっちになると過食が始まる、さるきち。

まるで時間を埋めるかのように、
食べモノで腹を埋めているさるきち。


もっと、独り時間をうまく過ごせるようになりたい。


そんな切な思いを抱きつつ
本屋をぶらぶらしてたとき、目にとまった本。

著者は演劇界でお馴染みの鴻上尚史氏。


彼が先ず主張するのは、

孤独には「偽モノの孤独」と「本モノの孤独」がある

というコト。

独りでいるのがさみしくて携帯メールしちゃったり、
だらだら長電話しちゃったり、
ネットサーフィン…

これって、「独りは惨めだ」という
誤った公然たる思い込みによって
偽モノの孤独にココロやられている状態であるといいます。

さるきちの過食もこちらに該当するのでしょう。


一方で、本モノの孤独とは
自分との対話の時間である、と著者。

ひとり旅に出て都会の喧噪を離れ
独りぼーっとするのも結構。

自宅だっていい。カフェの雑踏の中だっていいんですが、
どちらかといえば、静かな環境の方が好ましいようです。

自分に集中し、自分は本当は何がしたいのか、
独りになって瞑想する時間なのです。


さるきちはね、
バックパッカーでスイスをひとり旅したことがあります。

ユースホステルで出会う仲間とおしゃべりをしたり、
一緒に行動したりして楽しんだんだけど、
独りになる時間も多くてね。

ベンチに座りルツェルン湖をぼーっと眺めていると、
気持ちよい風がすーっとココロを洗ってくれる

そんな気がしたものです。

それをもう少し突き詰めると
自分との対峙になったのかもしれません。

哀れさるきちは、
東京からの一本の電話によって
現実に引き戻されるのですが。

「さるきち先ぱ〜い、
お客さんからクレーム受けてるんですが
どうしたらいいんでしょ〜か?!」

とほほ・・・blueday
 


村上春樹の「ねじまき鳥クロニクル」にも
オカダトオルが新宿のベンチに座り
何日もぼーっとヒトを観察する時間があります。

そして、その後を左右する重要人物、
ナツメグと出会うのです。

さるきちはね、
きっとオカダトオルが
本モノの孤独を感じていたからこそ、
運命が切り開かれたと思うのです。

ナツメグとの出会い。
それは電話やメール、mixiでは成し得なかったでしょう。


さるきちたちも、きっと同じ。

メル友だって、家族だって、みのもんただって、

アナタのコトを考えてはくれないのです。

本当にやりたいコトは自分に聞くしかないのです。


次に、鴻上氏は「後ろ向きの不安」と
「前向きの不安」について語っています。

前者は自分を振り回す不安であって、
後者はエネルギーを与えてくれる不安であるといいます。

本書には鴻上氏の実話が綴られていて
それも面白いのですが、
二つの不安の違いを表現したエピソード。


ある時、うーんうーんと鴻上氏が
部室で考え込んでいたんですって。

そこに先輩が登場、どうしたのか聞かれ
「劇団を立ち上げてうまくいくかどうか、考えているんですよ」
と応えました。

ところが先輩は
「それは『考える』じゃなくて『悩んでいる』だろう」と。

うまくいくかどうか悩んでも、ただ時間が過ぎるだけ。

一方で「考える」というのは
劇団を立ち上げた後で、
運営法や劇の上演計画などについて
考えを巡らせることであって、

結果何かが残るというのですね。


それが「後ろ向きの不安」と
「前向きの不安」の違いであるのでしょう。


この本では、
こうした孤独と不安について解説がなされた後、
それらとどううまくつきあっていけばいいか
ヒントが多く紹介されています。

不安になったら誰かに何かをあげる、とかね。

落ち込むコトや不安なコトがあったら
独り部屋に閉じこもりアルコールで
自分を慰める

なーんてヒトはいませんか?

それってね、
余計落ち込みや不安にフォーカスしてしまい
さらにドツボにはまっていくコトになるのです。

鴻上氏の知人では、
落ち込んだ時こそ、
友人に料理を振る舞うとい方がいるそうです。

そうするとね、いつの間にか
不安が消えているんですって。

ヒトに何かを与えているようで
実は、“何か”をもらっているのです。

そしてそれは、もらおうと思っていては
もらえないモノなのね。


また、「他人」と「他者」の違いや
人間関係の距離感を覚えるコト、 
「今ある自分」と「ありたい自分」の関係の作り方、などなど。

どれも短編にまとめられていて、
まさにレッスンを受けている感じ。


人間は「孤独と不安」から逃れることはできない。
生きている限り「孤独と不安」は終わらない。

しかし、

「孤独と不安」を生きることでしか手に入らないものがある。

それは面白いことでもある。


その言葉にはなんだか勇気づけられます。


頼りの旦那サマは出張中。

独りの時間を本モノにできるかどうか。
それはさるきち次第。。


☆おススメ品☆

鴻上氏の作品で思い出すのは、「シンデレラストーリー」。
さるきち愛する井上芳雄くんは王子役。
他にも、池田成志や橋本さとし、
そしてデーモン小暮閣下という豪華キャスト。

シンデレラストーリー
鴻上 尚史
白水社
売り上げランキング: 374165

theme : モノの見方、考え方。
genre : 心と身体

tag : 孤独 不安 鴻上尚史 スイス ひとり旅 村上春樹 ねじまき鳥クロニクル 劇団 井上芳雄 橋本さとし

1

comment

管理者にだけメッセージを送る

勉強になります!

本当にさるきちさんのブログはためになる事ばかりで、とっても勉強になります。いつも『なるほどなぁ〜』なんて思いながら読ませて頂いています(=^▽^=)
余談ですが、江原さん曰わく『憎しみは憎しみでしか返ってこない。愛を与える事によって愛が返って来る』と。与える事によって、実は与えてもらってるってところが似てるかなぁと思いました。

No title

「不安になったら誰かに何かをあげる」
これいいですね!
安心がほしい、癒しがほしい時こそ、
人に何かをあげてみるって。
おおお、すてきに生きる欠片をもらった〜・:*:・(*´艸`*)・:*:・
さるきちさんありがとう☆*:・゜★:*:・゜

こんばんわ☆

さるきちさんは、いつもレビューが上手くまとめられていて
ほんとに凄いな〜って関心しちゃいます。
私なんて感想文以下です(笑)
誰にも何も伝わってないと思う程(つI `。)ウゥ…

もっと、独り時間をうまく過ごせるようになりたい。

私も同じ気持ちです。
なので、この本のレビューはとても参考になりました☆

孤独。

こんばんは。
いま、孤独を感じているまっただ中にいたので、
さるきちさんの記事を読んで泣きそうになりました。

オカダトオルは、本物の孤独を感じたんだね。
わたしはその勇気が出ずにいます。。
そして「偽者の孤独」のまま...自分がからっぽです。
本物の孤独と向き合えるくらい、強くなりたい。

No title

「不安と孤独のレッスン」
さるきちさんのレビュー、早速読ませて頂きました。

私も、タイ、セブ島、沖縄と、一人旅をしたことがあります。自分との対峙の時間が欲しかったからなのですが、本ものの孤独を味わう、良い経験になったと思います。
京都の禅寺で座禅をした時、真言宗の瞑想、阿字観をした時、そして、ヨガの瞑想をした時も、自分との対峙であり、本ものの孤独の時間であたっと思います。

前向きな不安と、後ろ向きな不安、この違いもよくわかりました。

>人間は「孤独と不安」から逃れることはできない。
生きている限り「孤独と不安」は終わらない。
>しかし、「孤独と不安」を生きることでしか手に入らないものがある。
それは面白いことでもある。

この言葉の通り、生きている限り不安と孤独から逃れられないし、いきているからこそ手に入れる事が出来るものでもあり、それを悲観したり、マイナスなものととらえるのではなく、じっくりと味わうことが出来れば、人生ってもっと深くて濃いものになるんじゃないかなぁ・・・なんて思いました。

No title

>ナナさん
さるきち江原さんて話を聞いたコトも、読んだコトもないんです。
いつだったか、イベントホールに幅広い年齢層の
長蛇の列(女性ばかり)ができていたので、
何があるのかと思いきや、江原さんの講演でした。
人気があるんだなあ、とびっくりしました。
いつか読んでみようと思います。貴重な情報をありがとうございますっ。


>みずきさん
自分が苦しい時、凹んでる時に、ヒトにあげるって
ムツカシイことだと思うけれど、
そんなヒトになれたら、ステキですよね。

さるきち、みずきさんの写真にはヒトを癒す力があると思いますよ。
さるきちからも、ありがとう☆


>里絵さん
ありがとうございます〜。
でもね、ココロを込めて書けば伝わるモノですよ。
さるきち「優しい子よ」読みたくなりましたもん。

さるきちはね、ブログ書くのにものすーっごく時間がかかってマス(^^;
そして一日二日寝かせます。ハムみたいに。

その間に、より適切な表現を思いついたり、
ぱっとアイデアが浮かんだりするのです。
で、アップする直前にもう一度見直してるの。

熟成ハムなのです。

そうじゃない記事もありますけどね。

もう一冊“ひとり時間”の本を読んでます。
良さそうだったらご紹介しますね。


>ようさん
そっか。孤独を感じていたのね。

本モノと偽モノの区別ってムツカシイかもしれませんね。

この本ではないのですが、
“寂しい”感情を感じるコトができるのも、
ひとりの時間があるからこそ、と
書いてありました。

孤独に黄昏れているのが、弱いワケじゃないと思いますよ。
だって、独りで孤独に向き合っていたんだものね。
きっと、本モノの孤独を感じるための前ふり段階なんじゃないかな。

嗚呼さるきち、うまく言えないんだけど。。


>monaさん
早速コメント頂いて、ありがとうございますっ。

やっぱり、monaさんの日記の言葉に重みがあったのは、
本モノの孤独を経験されたからなんですね。

さるきちもそのうち、ひとり旅に出ようかと企んでいます。
座禅や瞑想も興味があるんです。そのうち実行するぞ。

本当は日常生活の中で自分と向き合えればいいんだけど、
なかなかムツカシイのが実情。
異なる環境に身を投じるのもある程度必要かもしれませんね。

さるきちは人生をもっと豊かなモノにしたい。
自分の感情をもっと深く味わえるようになりたいです。

また日記読ませてくださいね。
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摂食障害(過食嘔吐)10年目のさるきち@主婦です。

やあっと回復期に入ったかな。
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できるだけ笑いをお届けしたいと思っています。

趣味は読書、観劇、お絵描き。

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